板バネの材質
代表的な板バネの材料は、バネ用ステンレス鋼帯または、特殊鋼(炭素鋼/炭素工具鋼)のどちらかですが、バネ用リン青銅なども使われることがあります。板バネに使われる材料を材質別に分類しました。
材質 | 調質 | 比重 | 硬度(HV) | 特質 | 熱処理 | 特記事項 |
ステンレス鋼 SUS304CSP |
H | 7.93 | 370 | バネ材 対磁性 |
△ | 耐食性・耐腐食性が良い 錆び難い |
ステンレス鋼 SUS304CSP |
3/4H | 7.93 | 310 | △ | ||
ステンレス鋼 SUS301CSP |
3/4H | 7.93 | 370 | バネ材 | △ | SUS304よりクロムとニッケルの含有量が低い |
ステンレス鋼 SUS301CSP |
1/2H | 7.93 | 310 | △ | ||
ステンレス鋼 SUS631CSP |
3/4H | 7.93 | 400 ※熱処理後450 |
強力な バネ性 |
○ | 熱処理後、強力なバネ性を発揮 |
ステンレス鋼 SUS632J2 |
350 熱処理後※500 |
○ | ||||
炭素鋼 S60C |
7.9 | 160 | オーステンパ | ◎ | オーステンパ後バネ性を発揮 自動車部品使用が多い 後メッキ処理等が一般的 |
|
炭素工具鋼 SK5(SK85) |
7.9 | 160 | オーステンパ | ◎ | ||
リン青銅 C5210 |
8.8 | 140 | 導電性が良い | △ | 加工性・メッキ性・耐食性に優れている |
*熱処理 → △:低温焼鈍し ○:析出硬化処理(470~500℃/1H) ◎オーステンパ処理(焼入れ後、焼鈍し)
バネ用ステンレス鋼帯、特殊鋼(炭素鋼/炭素工具鋼)以外の材料でも加工実績がございます。
実績:特殊鋼(リボン鋼/ベーナイト鋼)、銅系バネ材(リン青銅)
バネ用ステンレス鋼帯
材質表記としては、SUS301CSP/SUS304CSP/SUS631 があります。硬度の高い順に、H→3/4H→1/2Hとなります。SUS304よりSUS301のほうが硬度が高くなります。
(SUS301CSP-1/2H=SUS304CSP-3/4H)
ばね用ステンレス鋼帯は耐食性とばね性に優れ、磁性も冷間圧延ばね用鋼帯やみがき特殊帯鋼に比べるとはるかに小さいので、電子機器・通信機器をはじめ家電製品・自動車部品と幅広く使用されています。
特殊鋼(ばね用冷間圧延鋼帯)
鋼種としては、炭素鋼(S○○C)・炭素工具鋼(SK-○)・ばね鋼(SUP○)があります。冷間圧延を施した鋼帯(みがき特殊帯鋼)があり、ばね・チェーン部品・事務機部品・刃物・のこぎり・座金など様々な用途に使用されおります。
その中で、ばね用としての取決めが不足していた事もあり、みがき特殊帯鋼より8鋼種を選び、ばね用として必要な取決めを行い、ばね用冷間圧延鋼帯として規格を定めました。
上記材料は、素材のままでは柔らかい材料ですので加工後に焼入れ焼き戻しあるいはオーステンパを
行ってばね特性を与える必要があります。
材料の段階で、焼入れ焼き戻しあるいはオーステンパを施した材料があります。
焼入れ焼き戻し材料→リボン鋼
素材の段階で強度を持っていますので、打ち抜き加工のみあるいは軽度な曲げ加工に適しています。
オーステンパ材料→ベイナイト鋼
材質の特長はリボン鋼と同様ですが、リボン鋼よりもメッキなどによる水素脆性の影響が少ない。
バネ用リン青銅
導電性と強度のバランス、加工性、メッキ性、耐食性に優れていることから電子・電機機器・自動車・情報通信機器などに幅広く使用されており銅材料の代表的な材料です。
板バネ(薄板バネ)とは
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